ブラジルの音楽ジャンルを学ぼう《フレーヴォ、マラカトゥ、セルタネージョ、etc…》

(UPDATE )

いろんなジャンルがありまして

「音楽にジャンルなんて関係ない!」って考え方も確かに「あり」ですが、特にワールドミュージックのような、地域性や歴史によっての音楽性の違いを知ることも楽しみの一つになり得る音楽については、やっぱりその差異を区別するための「ジャンル」って便利だし、知っておいて損はないものですよね。

音楽大国ブラジルの面積は日本の約22.5倍。
それはもう地域によっていろいろな音楽のスタイルがあり、その呼び名があります。

ブラジル音楽の情報誌や専門サイトなどを見ると、様々なジャンル名が登場してきます。
「フレーヴォの要素を取り入れた~」「フォホーの特徴である~」「サンバヘギのグループが~」etc…○○地方の伝統的ななんちゃら~的な説明が書かれてあることも多いですが、やっぱり実際聴いてみないと、どういうものかはイメージしづらいもの。

というわけで、それら「よく出てくるジャンル名」の音楽的な特徴と映像を集めてみたいと思います!
成り立ちや歴史については詳しくは書いていません。
あくまで「音楽的な特徴がわかる」程度の内容ですので、より深く知りたくなったら、各自でお勉強を!お願いいたします!

MPB(エミ・ペー・ベー)

Caetano Veloso – Odara(ao vivo):MPBを代表する偉大な音楽家カエターノ・ヴェローゾ。

いきなり大枠ジャンルいきますが、MPBというのは「Música Popular Brasileira(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)」の略で、直訳すると「ブラジルのポピュラー音楽」になります。

とはいえ、ブラジルのポップス全般を指す言葉というよりは、1960年代後半以降に登場した、それまでのブラジルのポピュラー音楽(サンバやボサノヴァ)をルーツに持ちながらも、洋楽ロックなどの影響を受けて生まれた新しい歌ものポップスのことを、新たにMPBというジャンル名でカテゴライズした感じ。
なので、ブラジルのポピュラー音楽であっても、ボサノヴァはMPBではないし、完全に欧米スタイルのロック・バンドなどもMPBではなく、それはそのまま「ホッキ(Rockのブラジル読み)」と呼ばれます。
シンガー・ソングライター系のソロ歌手が多い印象。
「ブラジルならではの音楽要素をベースに持った現代的なポップス」くらいの意味で捉えましょう。

Frevo(フレーヴォ)

ESCOLA DO FREVO – PERNAMBUCO ©TV NORDESTE

フレーヴォ(フレヴォ)はブラジル北東部ペルナンブーコ州の州都レシフェ(ヘシーフィ)のダンス音楽です。
マーチングドラムを前のめりに高速化したような特徴的な2拍子のリズムが特徴で、主に管楽器でメロディが奏でられます。
メロディも「バカ陽気」か「哀愁」のどちらかに思いっきり振り切れてる感じで、リズムと同様、めまぐるしく速いものが多いです。
ダンスは、映像を見ると分かるように、カラフルな傘を持ってくるくる回しながら飛び跳ねるように踊ります。

フレーヴォをエレクトリックでメタリックなロック・バンドで演ると、「トリオ・エレトリコ」と呼ばれるスタイルになります。

Trio Eletrico(トリオ・エレトリコ)

Trio Elétrico Armandinho, Dodô e Osmar – É o Trio

厳密には音楽ジャンル名ではないのですが、前述のフレーヴォが隣のバイーア州に伝わって、カーニバル用に電化されたバージョン(を演奏するバンドのこと)です。
ドドーとオズマールという2人組が1950年代に発明しました。
フレーヴォはそれはそれは景気のいい音楽なので、爆音でやればもっとアガるだろう、と考えたのでしょうか、音響装置を搭載したトラックの荷台の上で、ギターハ・バイアーナと呼ばれる小型のエレキギターみたいな楽器でフレーヴォ特有の高速フレーズを弾きまくり、町中を移動しながら演奏するというのが基本スタイルです。

上の動画のように、後半でテンポチェンジして一気に高速化するやつ、フレーヴォに限らず、ブラジル人好きですよね。
きたきたきたきたー!!!感あります。

Maracatu(マラカトゥ)

MARACATU (Arte Popular, Compagnie Amanita Muscaria)

マラカトゥもペルナンブーコ州レシフェの伝統音楽で、主にレシフェ中心の「マラカトゥ・ナサォン(Nãção/国の~)」と、内陸部の「マラカトゥ・フラウ(Rural/農村の~)」の2種に分けられます。

上の動画は「マラカトゥ・ナサォン」。
ダッダララッタ‥ダッダララッタ‥みたいな細かいリズムを刻む太鼓(カイシャ/Caixa)と、ズンドコズンドコいう重低音の太鼓(アルファイア/Alfaia)と、シャカシャカいってる瓢箪を数珠で巻いたような楽器(アベ/Ave)と、コッカッコッカッ…という金属打楽器(アゴゴ/Agogo)、が定番セットです。
おっそろしくカッコイイです。

マラカトゥ・フラウになると、より金属打楽器が前面に出てカランカランチリンチリンと賑やかになります。
Cores e Ritmo do Maracatu Rural – YouTube
また、金管楽器が哀愁のメロディーを奏でたりもします。

Forró(フォホー)

Ai Se Eu Te Pego – Cangaia de Jegue

フォホーはブラジル北東部のダンス音楽を指す広いジャンル名です。
バイアォン(Baião)、ショッチ(Xóte)、コーコ(Côco)などの北東部の伝統的なリズムや踊りを総称してフォホーと呼ぶようですが、音楽的な特徴としては、アコーディオン(サンフォーナ)と、ザブンバ(zabumba)という大太鼓と、トライアングルという3人編成が基本スタイル。

Luiz Gonzaga — Baião – Oficial – YouTube

フォホーを世に広めた偉大な音楽家、ルイス・ゴンザーガ

時代とともにポップもロックも取り込んで進化していったジャンルであり、今やブラジルの大衆ポップスの代表ジャンルの一つとしてブラジル全土で親しまれている音楽です。
元はといえばカントリー・ミュージックみたいなものですが、今やHip HopのCDかと見紛うようなBling Blingなデザインでおっさんがアコーディオン抱えてるようなジャケットとかが普通にあります。

上で紹介した動画はフォホー・バンドCangaia de Jegueの曲で、イケメン歌手ミシェル・テロがカバーして2012年に世界的ヒットとなった曲のオリジナルです。

Sertanejo(セルタネージョ)

Bruno & Marrone – Me Namora (Video)

前述のフォホー以上に、そのものズバリのブラジルのカントリーミュージックがセルタネージョ(「セルタォン/Sertão=荒野の音楽」が語源)。
北東部発祥のフォホーに対して、セルタネージョは内陸部の農村地帯の歌が原点だそうですが、フォホーと同様、時代とともにポップ化していき、いまやブラジルのヒットポップスの主流と言ってもいいくらいの人気ジャンルです。

なぜか男性二人組ユニットがやたらと多いです。
ビジュアルも基本カウボーイ系というか…、この辺もまさにカントリー。

普通にもうメジャーポップス化しているので音楽的なスタイルも幅広いのですが、ロマンティックな歌もの中心で、アコースティックな弦楽器の伴奏に、アコーディオンが入ることが多いのが特徴といえます。

Henrique & Diego – Henrique e Diego (VEVO Tour)

最近は若手イケメン系セルタネージョ歌手が人気で、映像を見てもらえばわかりますが、もはやアイドル級の盛り上がり。
EDM的なサウンドも取り入れ、ラップも飛び出します。

テイラー・スウィフトが広い意味での「カントリー」だ、というのと同じくらいの感覚で捉えると雰囲気がつかみやすいかも。

Samba Reggae(サンバヘギ)

Olodum Salvador Bahia HD

「ヘギ(Reggae)」というのは綴りを見ればわかるように、「レゲエ」のポルトガル語読みです。つまり「サンバ・レゲエ」。
とはいえ、実際そんなにサンバにもレゲエにも似ていません(レゲエっぽさを強調した曲も中にはありますが)。

バイーアには「ブロコ・アフロ(Bloco Afro)」と呼ばれる、アフリカ系住民たちの地域コミュニティ的な打楽器グループ兼カーニバル・チームが多数存在しており、その中のオロドゥン(Olodum)というグループが1980年代にサンバ・ヘギを生み出したと言われています。
重低音の大太鼓によるズンドガドゥンドガいう迫力ありまくりなリズムの上で、カイシャ(Caixa:スネアドラムみたいな小太鼓)がダガダガダガダガ…と細かいリズムを刻み、ヘピッキ(Repique:高音でやたらと響く小型の太鼓)とその他の打楽器が様々なリズムでアクセントを入れていくような感じが基本的な特徴です。

オロドゥンはマイケル・ジャクソンやポール・サイモンなどとも共演しているので、あのシンボルマークに見覚えある人もいるのでは。
Michael Jackson – They Don’t Care About Us – YouTube

Axé(アシェー)

Babado Novo – Amor Perfeito(2003)

アシェーもバイーアの音楽で、主に80年代以降に登場したバイーアならではの音楽性が全面に出たポップスを指す言葉です。
「バイーアならではの音楽性」というのもなかなか説明が難しいところではありますが、アフリカ文化の影響が色濃い地域ゆえの打楽器の存在感の大きさとスピリチュアル性があり、隣のペルナンブーコ州の音楽であるフレーヴォの影響が見られ、昔から多数の偉大なポップ歌手を輩出している土地であること、そして、前述の「サンバヘギ」の要素が強いこと、などなどを踏まえて聴くと、なんとなくその特徴が見えてくるかと思います。

サンバヘギ~ブロコ・アフロ系の熱狂的なリズムに、派手派手なシンセ音、メタリックなギター、そしてひたすらキャッチーな歌メロ。
知らない人でも一聴して「あ、ブラジル」って感じられるタイプの音楽だと思います。
商業ポップスといえばまあそうなんですけど、ハマるとこのブラジル感が最高に気持よくなります。
流行り的には1990年代が全盛期で、最近ではセルタネージョなどのほうがヒットポップスとしてはメジャーなイメージ。

動画は当時のヴォーカル、クラウヂア・レイチがそれはそれは可愛かった初期ババード・ノーヴォのヒット曲(ホベルト・カルロスのカバー)。

Baile Funk(バイリ・ファンキ)

Bonde Do Tigrão – O Baile Todo

M.I.A.が取り入れたことで、世界的にも知られることになったリオデジャネイロのファヴェーラ(スラム街)発のダンス・ミュージックです。
実際には、ジャンル名としては単純に「ファンキ(Funk)」もしくは「ファンキ・カリオカ(Funk Carioca = リオのファンク)」と呼ばれます。
バイリというのはそのファヴェーラで行われているダンス・パーティのこと。
ダンス・パーティといっても現代の、しかもスラム街の、なので「ヤバいクラブ・イベント」みたいな感じだと思います。

音楽的には、アメリカのファンクとはまた全然違って、どちらかと言うとマイアミ・ベース的な、チープな打ち込みで、チャラいサンプリング重ねて、喋るようにがなり立てるように歌う、という感じのが多いです。
ほとんどどれも同じ曲に聞こえるところがまた最高です。

そんなファンキも、時代とともにポップ化していき、最近はキャッチーな歌ものファンキなども登場してヒットするようになりました。

まだまだいろいろありますが

現代の日本の音楽誌などでもよく見かけるジャンル名を中心にご紹介しました。
面白そう!と思ったら、とりあえずYouTubeでジャンル名を検索すれば、いろいろ出てきますのでご活用下さい。

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