【ライブレポート】カエターノ・ヴェローゾ来日公演 2016年10月5日 NHK大阪ホール

(UPDATE )

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2016年10月5日に大阪のNHK大阪ホールにて行われたカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)の11年ぶりの来日公演を観てきました。
とにかく素晴らしい、最高の時間だったとしか言いようがないのですが、簡単にレポートと、関連情報などをまとめておきます。

今回はカエターノと、女性サンバ歌手のテレーザ・クリスチーナ(Teresa Cristina)の二人による『CAETANO APRESENTA TERESA』と題したツアーでの来日。
カエターノは「Voz e Violão(声とギター)」すなわちギター弾き語りによるソロでのパフォーマンス、そのオープニングアクトとしてテレーザ・クリスチーナが9月2日に発売したカルトーラ(偉大なサンバ音楽家)のカバー集『Canta Cartola』の曲を披露するという構成で、これまでに9月にパリとリスボン、10月3日に韓国のソウルで公演が行われています。

各会場のセットリストを見てみると、披露される楽曲は序盤と終盤はある程度共通した選曲になっており、中盤に会場ごとで違った曲が歌われている模様。
日本ではさらにこの後、10月9日にモントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンのステージが残っていますが、単独公演とは時間等も異なるでしょうから、一体どのような選曲になるのか気になるところです。

モントルーのみ行くという方で、カエターノのアルバムはほとんど聴いてて有名曲・人気曲はほぼ知ってる、というような方は、あえて何も予習せずに行ったほうが楽しめると思いますので、ここから下の大阪公演のレポートもモントルー終わってから読んでいただければ(笑)。
逆にまだそれほどカエターノの曲知らない、という人は、今回のセットリストを参考に代表曲を予習しておくといいかと思います。

というわけで、以下10月5日大阪公演のレポートです。

Caetano Apresenta Teresa

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台風がまさに九州から日本海へと通過しているタイミングで、どうなることかと思われましたが、無事に会場へ辿り着くことができました。
NHK大阪ホールは縦に広い空間で、1階のロビーからエスカレーターで4階まで上がって入場する方式。
筆者の席は2階の端の方で、かなりの急角度からステージを見下ろすような位置でしたが、角度があるので前の人に視界を遮られることもなくステージ全体が見渡せます。

大きな拍手につつまれて、まずはカエターノが登場。
挨拶に続いて、テレーザ・クリスチーナとその伴奏を務める7弦ギター奏者のカルリーニョス・セッチ・コルダス(Carlinhos 7 Cordas)を紹介します。

セッチ・コルダス(7 Cordas)はショーロなどで使われるブラジルの7弦ガットギター(Violão 7 Cordas)のこと。

Teresa Cristina Canta Cartola

テレーザ・クリスチーナによるカルトーラ楽曲集のライブがスタート。
ステージ右手にテレーザ、左手にカルリーニョスが座り、全10曲を披露しました。
テレーザは前半はスタンドマイクで、中盤からはマイクを手に持って、カルリーニョスの隣に並んで歌ったりもしていました。
深みと同時にどこか風通しの良い開放的な感じもある気持ち良い歌声。カルリーニョスのギターも見事な技巧とまろやかに響く音色で、会場は早くも幸せ空間に。

SETLIST

1. O Mundo É Um Moinho
2. Corra e Olhe o Céu
3. Alvorada
4. Cordas de Aço
5. Preciso Me Encontrar
6. Tive Sim
7. Acontece
8. Sala de Recepção
9. As Rosas Não Falam
10. O Sol Nascerá (A Sorrir)

4曲目以外は全てテレーザ・クリスチーナのアルバム『Canta Cartola』に収録されている曲で、曲順も基本的にアルバムでの並びに沿っています。
大阪のステージでは1曲目のエンディングに「Over The Rainbow」の一節を歌うアレンジが加えられていました。

アルバムもカルリーニョス・セッチ・コルダスとのライブ録音ですので、今回のステージそのままの雰囲気で余韻に浸れます。気に入った方は是非!

Canta Cartola – Teresa Cristina

Caetano Veloso Voz e Violão

そしていよいよカエターノの登場。
ステージ中央の椅子にギターを抱えて座ると、(想像以上に)さらっと歌い始めるのですが、その「さらっと」一瞬で会場全体を引き込んでしまうあの声!

1曲目は「Um Indio」。あえてセットリストを一切予習せずに当日を迎えた筆者的には「まじか!」という選曲で最高でした。予想のつかないこれこそカエターノ。
さらに2曲めに「Os Passistas」! 映像でも音源でも弾き語りはこれまで聴いたことがなく、また筆者にとってリアルタイムで最初にちゃんと聴き始めたアルバムが『Livro』なので、特に思い入れのある曲でもあり、感動の嵐!
そこからひたすら代表曲の数々を次から次へと歌っていきます。

4曲目あたりで「これはとんでもなくすごいセットリストでは…」と思い始め、さらに「O Leãozinho」に「Menino do Rio」ときたらもう、完全にベスト・オブ・カエターノな至福の時間。あとはただもう、このまま永遠に続いてほしいと思いながら酔わされていた感じです。

印象的だったのは、曲間にまったく水を飲まず、また中盤まではほとんどしゃべることもなく次々と歌い続けていたところ(テレーザが1曲おきに水分補給していたのでなおさら印象に残りました)。そして歌えば歌うほど声がどんどん美しく響き出すところ。

ギターの演奏も含めて、同じ曲の弾き語りであっても、時代によってアレンジが微妙に変わっていたりするところも聴きどころでした。

中盤からは、曲紹介なども挟みながら、少々レアな曲なども披露。
「Love For Sale」はギターのネックを片手で握ったままアカペラで。
トロピカリアのアルバム(『Tropicália Ou Panis Et Circensis』)からの「Enquanto Seu Lobo Não Vem」には、またしても「まじか!」と思わされました。

終盤は再び珠玉の名曲オンリーの流れ。
感動の「Força Estranha」ではもちろん大合唱……にはさすがに日本ではなりませんでしたが、うっすらと客席の歌声も聞こえてきました。…no ar~♪
そして「Terra」では、11年前の来日公演の時と同様、曲の途中でカエターノが「Canta(歌って)」と呼びかけ、客席が歌いだします。怒涛のかき鳴らしから繊細なアルペジオ、さらに太鼓のリズムまでを創りだすギターも凄かった…。
さらに「Sampa」「Sozinho」と本国での超人気曲が続いて、本編ラストは大盛り上がり必至な「A Luz de Tieta」! 客席からも自然に手拍子と合唱。最高にカルナヴァルです。

鳴り止まない拍手の中、アンコールはカエターノとテレーザの共演で。
まずは二人で交互にボーカルを取るアレンジで「Tigresa」を披露。
さらにカルリーニョスの7弦ギターも加わり、「Miragem de Carnaval」「Como Dois e Dois」という通好みな2曲に続いて、やっぱり外せない「Desde Que O Samba É Samba」! テレーザがサンバのステップを踏んで踊り出し、笑顔あふれる至福のエンディング。

しかしまだまだ拍手は鳴り止みません。ダブルアンコールはこれまた盛り上がるしかない「Odara」!
テレーザのボーカルをメインに、カルリーニョスのギターがオリジナル版のファンキーなベースラインを思い出させるフレーズを奏でます。カエターノはあの印象的なコーラス部分を歌い上げ、やっぱり拍手は鳴り止みませんが、とうとう本当のエンディング……。
ありがとうカエターノ! ありがとうテレーザ&カルリーニョス!

名残惜しくも、それ以上にただただ幸福感に包まれる帰り道。

SETLIST

1. Um Índio
2. Os Passistas
3. Luz do Sol
4. Meu Bem, Meu Mal
5. Esse Cara
6. O Leãozinho
7. Menino do Rio
8. Minha Voz, Minha Vida
9. Cucurrucucu Paloma
10. Reconvexo
11. Love For Sale
12. Bahia, Minha Preta
13. Coração Vagabundo
14. Um Abraçaço
15. Odeio
16. Enquanto Seu Lobo Não Vem
17. Força Estranha
18. Terra
19. Sampa
20. Sozinho
21. A Luz de Tieta
EN.
22. Tigresa
23. Miragem de Carnaval
24. Como Dois e Dois
25. Desde Que O Samba É Samba
EN.2
26. Odara

終演後のロビーにアンコールを除いたセットリストが貼り出されていましたが、「Odeio」が入ってなかったり「Força Estranha」がダブってたり……記憶を頼りになんとか再現を試みていたところ、中原仁さんのブログにアンコールまで含めた詳細が載っていましたので参考にさせていただきました。
10月5日 カエターノ・ヴェローゾ、テレーザ・クリスチーナ 大阪 : 中原仁のCOTIDIANO(ARTENIA公式Blog)
ブラジル音楽好きは必見のブログです!
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こちらがロビーに貼り出されていたセットリスト。

あとがき

筆者にとっても11年ぶり、2005年に大阪と福岡で観て以来のカエターノでした。
前回は『A Foreign Sound』発売後のタイミングでの来日で、英語曲のカバーを集めたアルバムのコンセプトに沿った、ある意味ちょっと企画性の強いセットリストだったのですが(といってもそこはカエターノなので当然一筋縄ではいかない内容で素晴らしいものでしたが)、今回はまさにカエターノの真髄、純度100%のカエターノで、きっと多くの日本のファンにとっても「これが観たかった!」という最高の内容だったのではないでしょうか。
本当にもう、そのままアルバム化してほしいくらいの……個人的には今までの他のどのライブアルバムよりも素晴らしいものが観れた、聴けた、という満足感があります。

それにしても、全編ギター1本での弾き語りなのに、どこまでも色鮮やかというか、曲によっていろんな世界が見えるというか、そしてその音が会場全体を包み込んで切れ目なく展開していくような。Twitterで「お芝居のよう」だったという感想を書かれている方がいらっしゃいましたが、まさにそんな感じで。
歌声だけではない、演奏や音そのものやその場の空気や時間の流れまでも込みで聴かせる音楽家であり、表情や動きまで含めた表現者であることを、あらためて実感させられました。

生きててよかった!

セットリストをベースに楽曲と収録アルバムの紹介みたいなレポートにしようと思っていたのですが、気づいたら記憶の殴り書き状態みたいになってしまいました……落ち着いたらもう少し情報追記しようと思います。

モントルー行かれる方、どうぞ楽しんで! 至福の時を!

追記:10月9日モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンでのセットリストも中原仁さんのブログにて公開されました。
10月9日カエターノ・ヴェローゾ、テレーザ・クリスチーナ 東京 : 中原仁のCOTIDIANO(ARTENIA公式Blog)

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