【特集】リオ五輪 閉会式もブラジル音楽満載!使われた曲と出演アーティストまとめ

(UPDATE )

リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式が8月21日20時(日本時間22日8時)より、リオのマラカナン競技場にて行われました。

ブラジル音楽文化の素晴らしさを詰め込んだ開会式に続いて、閉会式も見どころ&聴きどころ満載の内容!
前回に続いて、使われた楽曲と出演アーティストをまとめてご紹介します。

※ブラジル音楽の紹介記事になります。東京オリンピックへの引き継ぎセレモニー部分については専門外のため省略しています。あらかじめご了承下さい。

愛情深く…マルチーニョ・ダ・ヴィラが歌う

まずは大御所サンバ歌手の Martinho da Vila(マルチーニョ・ダ・ヴィラ)が登場。
歌った曲は「Calinhoso(カリニョーゾ)」と「As Pastorinhas(アス・パストリーニャス)」。

Calinhoso」はショーロを代表する音楽家でフルート/サックス奏者の Pixinguinha(ピシンギーニャ)が作った曲で、サンバの作曲家である Braguinha(ブラギーニャ)こと João de Barro(ジョアン・ヂ・バホ)が歌詞を付け Orlando Silva(オルランド・シウヴァ)が歌ったものが1937年に大ヒット。
その後も数多くのアーティストによって録音されており、ブラジル国民には「第二の国歌」と呼ばれるほどに親しまれているという名曲です。
Orlando Silva – Carinhoso (1937) – YouTube
タイトルは「愛情が深い人」のような意味。

ショーロ(Choro)は19世紀にリオで生まれた音楽ジャンルで、ヨーロッパの宮廷音楽の影響を受けた弦楽器と管楽器によるアンサンブルが特徴。ポルトガル語で「泣く」という意味の「chorar(ショラール)」に由来しており、情感あふれる美しいメロディが多いです。

As Pastorinhas」は1930年代、サンバの黄金期に活躍した伝説的な音楽家 Noel Rosa(ノエル・ホーザ)の曲で、こちらも Braguinhaとの共作。
Noel Rosa – Linda Pequena (As Pastorinhas) (João Petra de Barros) – YouTube
タイトルは「羊飼いの娘たち」の意味。Noel Rosaは、もともとダンス音楽として生まれたサンバに「詩」の要素を持ち込んだ偉人と言われています。

国歌は子どもたちの合唱で・・・なんとアフロ・ブラジル仕様

国歌斉唱は児童合唱団による爽やかな歌声。伴奏はまさかの打楽器部隊によるポリリズミックなアフロ・ブラジル風アレンジ!これは素晴らしかった!

カルメン・ミランダ登場!?演じたのはホベルタ・サー

14088662_1268157996542078_7024433194363151151_n
VIA:Roberta Sá|Facebook

続いてサンバのリズムに乗ってカラフルでトロピカルな衣装をまとって登場したのは、人気女性歌手の Roberta Sá(ホベルタ・サー)。
ブラジルが生んだ世界的大スター Carmen Miranda(カルメン・ミランダ)をオマージュしたパフォーマンスです。
曲は「Tico-Tico no Fubá(ティコティコ・ノ・フバー)」。1917年に作られた Zequinha de Abreu(ザキーニャ・ヂ・アブレウ)作曲によるショーロで、ディズニー映画『ラテン・アメリカの旅(Saludos Amigos)』(1942年)でも使われ、世界的にも知られています。

CARMEN MIRANDA | Tico-Tico no Fubá – Colorizado (1947) – YouTube

カルメン・ミランダによるバージョンは1945年に録音され、1947年のアメリカ映画『Copacabana』の中で歌われました。

Roberta Sáはブラジル北東部リオ・グランヂ・ド・ノルチ出身の女性歌手で、2005年にアルバム『Braseiro』でデビュー。洗練された新世代サンバといった雰囲気の作風で聴きやすく、日本でもブラジル音楽ファンの間でとても人気のあるシンガーです。

Roberta Sá – Delírio (clipe oficial)

最新アルバムは2015年の『Delírio』。

フレーヴォにフォホーにマンギビート…まさに北東部音楽祭り!

ド派手な衣装の女性ダンサーたちが小さな傘を持って跳びはねるように踊り出したのは、ブラジル北東部ペルナンブーコ州のダンス音楽「フレーヴォ(frevo)」。
カーニバルの行進曲であったマルシャ(マーチ)やマシーシにカポエイラの要素が合わさって生まれた音楽だそうで、マーチを高速化したようなリズムとメロディアスな高速フレーズが特徴です。

使われていた曲は、1909年に作られたというフレーヴォの定番曲「Vassourinhas(ヴァッソリーニャス)」。
Vassourinhas | Frevo de Rua (MATHIAS DA ROCHA / JOANA BATISTA) – Orquestra de Frevo da BSCR – YouTube

Vassourinhasとはこの曲が作られたカーニバル・クラブ(?)の名前のようです。
フレーヴォはその高速性ゆえに(?)ハード・ロック~ヘヴィメタルとの相性もよく…、後にフレーヴォを電化したトリオ・エレトリコというスタイルも誕生しカーニバルの定番となっています。「Vassourinhas」は、そんなトリオ・エレトリコ化したバイーアのバンド Novos Baianos(ノヴォス・バイアーノス)によるバージョンも有名。面白いので参考までに。
Vassourinha – Novos Baianos (1977) – YouTube

さらに選手入場の間もひたすらブラジル北東部サウンド。
前のめりに跳ねるような独特のリズムとアコーディオンの音色が特徴的なブラジル北東部のダンス音楽「フォホー(forró)」で盛り上がります。

演奏されていたのは北東部音楽を世に広めた偉大な先駆者 Jackson do Pandeiro(ジャクソン・ド・パンデイロ)の代表曲「Sebastiana(セバスティアーナ)」。

Luiz Gonzaga – Sebastiana ft. Guadalupe
こちらは同じく北東部を代表する偉大な音楽家ルイス・ゴンザーガによるバージョン。

ここでの音楽を担当していたのが、ペルナンブーコの伝統音楽を現代的なサウンドで再構築して聴かせる DJ Dolores(DJドローリス)率いる Orquestra Santa Massa(オルケストラ・サンタ・マッサ)とバイーアのミュージシャン Mikael Mutti(ミカエル・ムッティ)、そしてフレーヴォ界の有名サックス奏者 Spok(スポック)。

Orquestra Santa Massaには、女性歌手の Isaar(イザール)や人気ロック・バンド Eddie(エディ)のボーカリスト Fábio Trummerもメンバーとして参加しています。

Dj Dolores y Orchestra Santa massa – Deixa a Tanga Voar

DJ Doloresこと Hélder Aragão(エルダー・アラガォン)は、もともと90年代にペルナンブーコで巻き起こった音楽ムーブメント「マンギビート(Manguebeat/Manguebit)」のシーンでアートワークのデザインなどをしていた人で、90年代後半からDJとしての活動を開始。北東部の土着的な音楽とクラブ・ミュージックの要素を融合した独自のスタイルで世界的に活躍しています。

マンギビート」はものすごく簡単に言うと、ブラジル北東部の伝統音楽をハードコアやヒップホップなどのサウンドと融合させて北東部の新しい音楽文化を創りだそうとした動き。「マンギ」は北東部に群生するマングローブのこと。
マンギビートの中心的バンド Chico Science & Nação Zumbi(シコ・サイエンス&ナサォン・ズンビ)のファーストアルバム(1994年)のジャケットデザイン(頭脳を持ったカニ!)もDJ Doloresによるものだそう。

Mikael Muttiは情報が少ないのですが、バイーアのサルヴァドール出身のミュージシャンで、アレンジャーやDJとして活動しているようです。
Mikael Mutti – Samba Reggae Set 01 – YouTube

Spokはフレーヴォのビッグバンド SpokFrevo Orquestra(スポックフレーヴォ・オルケストラ)を率いて活動するサックス奏者で、ペルナンブーコを代表するフレーヴォ演奏家であり作曲家。通称「Maestro Spok」。ジャズの要素を取り入れた新しい感覚のフレーヴォを追求しています。

De Cazadero ao Recife – SpokFrevo Orquestra

トロピカルハウスとポエトリー・リーディング

トロピカルハウスで大人気のノルウェーのDJ、Kygo(カイゴ)によるステージ(曲は「Carry Me」)を挟んで心地よくクールダウンした会場に、Arnaldo Antunes(アルナルド・アントゥネス)の低音ボイスによる詩の朗読が響きます。タイトルは「Saudade(サウダーヂ)」。

私は生きたことを惜しまない/なぜなら全てはここにあるから/私の中で/内蔵のように私を形づくり/全てはここで続いている・・・のような内容。ほぼGoogle翻訳頼りの筆者の語学力による拙訳・意訳ですのでその点ご留意下さいませ…「saudade」は日本語に訳すのがとても難しい感情を表す言葉で、「懐かしさ」や「恋しさ」や「失ったものを惜しむ気持ち」などに近いと言われます。

Arnaldo Antunesはサンパウロのミュージシャンで、ちょっとアヴァンギャルドな実験性のあるポップスをやっている人。もともとは Titãs(チタンス)というロック・バンドで活動していました。

まだまだ続く北東部祭り

ブラジル北東部の伝統工芸であるレース編みをテーマにしたパフォーマンス。バイーアの女性コーラスグループ As Ganhadeiras de Itapuã(アス・ガニャデイラス・ヂ・イタプアン) のメンバーたちが踊りながらレースの模様を描き出していきます。
歌われていたのは、北東部の伝承歌「Mulher Rendeira(レース編みの女たち)」。シャシャード(xaxado)と呼ばれるリズムだそうです。

Trio Nordestino – Mulher Rendeira – YouTube

こちらは1950年代から活動するバイーアのフォホー・グループ Trio Nordestino(トリオ・ノルデスチーノ)によるバージョン。

As Ganhadeiras de Itapuãは2004年に結成されたバイーア州サルヴァドールの海辺に暮らす女性たちによるグループで、昔ながらのサンバや生活に根ざした歌を歌っています。2015年に初めての正式にレコーディングしたアルバムを発表。素晴らしい作品です。
As Ganhadeiras de Itapuã – As Ganhadeiras de Itapuã(AppleMusic)

続いて世界的に活動するミナス・ジェライス州のコンテンポラリー・ダンス・カンパニー Grupo Corpo(グルーポ・コルポ)が登場!躍動感のある動きで盛り上げます。

Grupo Corpoはブラジル音楽ファンとしても見逃せない要素が多く、踊っていたのはバイーアの鬼才音楽家 Tom Zé(トン・ゼー)が舞台音楽を手がけた1997年の作品「Parabelo」。

Grupo Corpo – Parabelo | 1997

ハベッカ(Rabeca)と呼ばれるヴァイオリンの音色にトライアングルによるリズム、というこれまた完全にブラジル北東部に特徴的なサウンド。

Grupo Corpo – Onqotô | 2005: Mortal Loucura – YouTube

こちらは Caetano Veloso(カエターノ・ヴェローゾ)とJosé Miguel Wisnik(ジョゼ・ミゲル・ウィズニッキ)が音楽を担当した2005年の『Onqotô(オンコトー)』より。カエターノの歌入りです。素晴らしい。
YouTubeに動画が多数ありますので気になった方は是非!

続いて、アコーディオンの印象的なフレーズとともに、北東部を代表する名曲「Asa Branca(アーザ・ブランカ)」が流れ出し、会場全体が踊り出します。

Luiz Gonzaga – Asa Branca ft. Fagner, Sivuca, Guadalupe

Asa Branca」は1947年に作られた Luiz Gonzaga(ルイス・ゴンザーガ)の作品で、これまたブラジル人なら誰もが知っているくらいの超有名曲。

Luiz Gonzagaはペルナンブーコ出身の音楽家で、北東部の伝統音楽である「バイアォン(baião)」を大衆音楽としてブラジル中に広めた偉大な人。別名「バイアォンの王様」。アコーディオンを弾きながら歌います。

レニーニ登場!

沢山の大きな手形を持った人々の間からギターを抱えて登場したのは、ペルナンブーコ州ヘシーフェ出身のシンガーソングライター Lenine(レニーニ)!
代表曲の「Jack Soul Brasileiro(ジャッキ・ソウル・ブラジレイロ)」を、今大会にボランティアとして関わった人たちへの感謝をこめた歌詞に変えて歌います(手形を持っていたのもボランティアの人たちだそう)。

Jacksoul Brasileiro / Chão ao Vivo
2015年のライブバージョン。オリジナルは1999年のアルバム『Na Pressão』の冒頭に収録されています。

Lenineは1980年代から活動しているミュージシャンで、1993年にパーカッショニストの Marcos Suzano(マルコス・スザーノ)とのデュオによるアルバム『Olho de Peixe(魚の眼)』が話題に。1997年にソロ・デビュー作『O Dia em que Faremos Contato(未知との遭遇の日)』を発表し、北東部の伝統音楽と先鋭的なロックやエレクトロのサウンドを融合させたスタイルで注目を集めました。打楽器的なギターの音色も特徴的。
現在57歳ですが、迫力あふれるスタイルは変わらず現役で精力的に活動しています。

この後は2020年の東京オリンピックへの引き継ぎコーナー。
これまた面白い仕掛け満載(マリオ!)で楽しませてくれる素晴らしい内容でしたが、当記事の趣旨とは異なるため省略します。

引き継ぎセレモニーでの音楽に関してはこちらの記事に詳しく書かれています:
【リオ五輪】椎名林檎が五輪の舞台であえて使った「あの曲」その意図は (BuzzFeed)

バラに降る雨

色鮮やかなブラジルの大自然をテーマにした演出のバックに流れだすのは、Tom Jobim(トム・ジョビン/アントニオ・カルロス・ジョビン)の名曲「Chovendo Na Roseira(バラに降る雨)」。
奇しくも会場の天気も雨。美しいひと時となりました。

Gal Costa – Chovendo Na Roseira
ガル・コスタの素晴らしい歌声でどうぞ。

時の流れ行くままに…

バイーアのサンバ歌手 Mariene De Castro(マリエーニ・ヂ・カストロ)が登場。
全てを包み込むような歌声で聴かせてくれたのは Marisa Monte(マリーザ・モンチ)の名曲「Pelo Tempo que Durar(ペロ・テンポ・キ・ドゥラール)」!

東洋的な五音音階のメロディが美しいこの曲が選ばれたのは、次回の東京へ繋ぐ意味もこめられていたのかもしれません。

原曲は Marisa Monteの2006年のアルバム『INFINITO PARTICULAR』のラストに収録されています。作曲は Marisa Monteと Adriana Calcanhotto(アドリアーナ・カルカニョット)の共作で、アレンジには和楽器の琴も使われています。
Marisa Monte – Pelo Tempo que Durar. – YouTube

マリーザ本人もこの曲について「日本的な曲」であるとインタビューで語っています。
出典:POKEBRAS ブラジル音楽情報:マリーザ・モンチ インタビュー!

Mariene De Castroはバイーア州サルヴァドール出身の女性歌手で、以前はカルリーニョス・ブラウン率いるサンバヘギ(Sambareggae:サンバとレゲエを融合?した結果ほぼ別物の独自スタイルになっているバイーアの音楽ジャンル)のグループ Timbalada(チンバラーダ)でヴォーカルを務めていました。
2005年に発表したファースト・ソロ・アルバム『Abre Caminho』が高い評価を得て、実力派サンバ歌手としての地位を確立。
これまでに3枚のスタジオ録音アルバムと4枚のライブアルバムをリリースしています。

Mariene De Castro – Amuleto de Sorte

2012年のアルバム『Tabaroinha』より。

フィナーレはやっぱりサンバ!

いよいよフィナーレ。サンバのリズムが躍動し、流れだしたのはリオデジャネイロの市歌「Cidade Maravilhosa(シダーヂ・マラヴィリョーザ/素晴らしい街)」。
1934年に発表された André Filho(アンドレ・フィーリョ)の作品で、1935年にカーニバルに使われ、1960年に正式にリオデジャネイロの市歌になったとのこと。
当然のように数多くのアーティストによって歌われ、レコーディングされています。

André Filho – Cidade Maravilhosa (As Melhores Marchinhas de Carnaval 2015) [Áudio Oficial]
こちらは2015年のカーニバルのバージョン。

以上!今回は筆者もリアルタイムで見ることが出来ましたので、興奮が冷めないうちに早めにまとめました。
開会式と同様にノンストップで次々と曲が展開したので、もしかしたら見落としやチェック漏れがあるかもしれません。気づいたものがあれば教えていただけると幸いです。

また、中継では「Cidade Maravilhosa」で終わっていたのですが、現地のツイッターを見た感じだとその後もしばらくサンバカーニバル状態が続いていた?模様。

サンバの定番曲「É Hoje」が歌われていますね。

追加で情報が出てきたら都度このページに追加していこうと思います。
開会式と比較すると、特にブラジル北東部の音楽文化が重点的に取り上げられていたのが印象的でした。

気になったアーティストがあれば是非、他の作品もチェックしてみて下さい。

最後に、全ての参加選手たちに拍手!

Popular Posts

Latest Posts

Tweets